一時金にする?年金にする?退職金の受け取り方3パターンを解説
人生で退職金ほどまとまった金額を受け取る機会はなかなかありません。使い道、運用方法、税金…考えるべきことは多く、何をヒントにどう判断していけばいいか、迷ってしまいます。
今回は退職金の受け取り方3パターンについて、メリットやデメリットをそれぞれ解説します。
- 1. 一時金
で受け取る場合 - 2. 年金
として受け取る場合 - 3. 一時金と年金の併用
で受け取る場合
受け取り方の違いによって税金や社会保険料も変わってきますから、自身にとってベストな選択ができるよう、各パターンの特徴を理解していきましょう。
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メリット1 |
退職所得控除が適用される 退職金を一時金形式とする最大の利点は退職所得控除を使って税負担を大きく軽減できる点です。 |
メリット2 |
金額がまとまっているので使い道が幅広い 数百万、1,000万円以上と金額が大きいため、年金形式で受け取るよりも使い道が広がります。 |
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デメリット1 |
使用・運用の計画をきちんと立てないと失敗しやすい 退職金を無計画に一時金受け取りにするのは大変危険です。まず使いすぎてしまう可能性がありますし、逆に銀行に預けっぱなしでは金利がつかず、取り崩す一方となってしまいます。1回の引き出しは少しだとしても、徐々に残高が減っていくことで不安感にさいなまれるかもしれません。 |
デメリット2 |
運用成果によっては年金形式よりも金額が減ってしまう 先述のように銀行口座に置いておいても金利が期待できませんから、受け取った退職金を自身で運用していくことが肝要です。 |
こうした側面から、年金受取のメリットは次の2点です。
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メリット1 |
公的年金控除が利用できる 年金形式で退職金を受給する場合は公的年金控除が適用されます。もし年間の受給額が公的年金控除額の範囲内におさまれば、所得税と住民税がかかりません。 |
メリット2 |
総受給額が一時金で受け取る場合より多くなる可能性がある 退職金のまだ受け取っていない部分は、お勤めだった会社が一定の利回りで運用してくれます。運用利回りや受給期間によっては、一時金で受け取る場合よりも退職金の総額が多くなるかもしれません。 |
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デメリット1 |
一時金とくらべ税金や健康保険料が増える場合がある 公的年金等控除は、企業年金だけでなく、基礎年金や厚生年金などの公的年金も同じ枠を使います。 |
デメリット2 |
運用利回りや受給期間によっては受け取れる額が少なくなる 退職金のまだ受け取っていない部分を会社が運用してくれると説明しました。しかし運用利回りによってはインフレに対応できず、退職金は実質目減りしてしまう可能性があります。 |
会社の制度と、ここまででふれてきた退職所得控除・公的年金等控除がポイントです。
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メリット1 |
退職所得控除によって年金受け取りよりも税負担を抑えられる とくに退職金の額が退職所得控除の範囲を超える方にとって大きなメリットです。 |
メリット2 |
公的年金等控除をより活かしやすくなる 退職所得控除を利用したうえで年金部分を65歳までのあいだに受け取れば、公的年金等控除を活用しやすくなります。公的年金(雑所得)の支給は65歳〜ですから、60代前半の期間は雑所得が公的年金控除の範囲内におさまりやすいといえるからです。 |
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デメリット1 |
一時金と年金のバランスを欠けば、結局負担が増えかねない 退職金の額が退職所得控除の範囲におさまるなら、一時金形式がもっとも税金・社会保険料の負担が少なくなります。税金・社会保険料だけを考えれば、あえて併用にする必要ありません。 |
デメリット2 |
思うとおりの受け取り方ができるとは限らない お勤めの会社や勤続年数などによって退職金の金額や制度は異なります。一時金として受け取れる割合、年金を受け取れる期間などが自分の希望と合わないかもしれません。 |