RSU(譲渡制限付株式ユニット)の適切な売却タイミングをFPが解説します
2024年8月30日
執筆者:土屋 ごう
執筆者:土屋 ごう
最近「勤め先からRSUを受け取っているが、売却すべきなのか、売却するとしたらそのタイミングはいつなのか」とお悩みの方からのご相談が寄せられています。
RSU(譲渡制限付株式ユニット)とは株式報酬の一種で、外資系企業ではよく導入されている制度です。
本記事ではRSUの概要を整理するとともに、売却を判断するポイントと売却のタイミングについて解説します。
RSU(譲渡制限付株式ユニット)とは株式報酬の一種で、外資系企業ではよく導入されている制度です。
本記事ではRSUの概要を整理するとともに、売却を判断するポイントと売却のタイミングについて解説します。
さっそくRSU(譲渡制限付株式ユニット)の概要を、混同されやすいRS(譲渡制限付株式)・ストックオプションと比較しながら整理していきましょう。
冒頭でもふれたように、RSUは株式報酬の一種です。
株式報酬とは、給与やボーナスなどの現金報酬にくわえて、 株式で付与される報酬です。
RSUでは、勤続年数など一定条件を満たすと「ユニット」とよばれる単位が付与されます。
ユニットをひと言でいうと、将来条件つきで自社株を得られる「権利」です。
自社株はユニット数に応じた株数が付与されます。
株式報酬とは、給与やボーナスなどの現金報酬にくわえて、 株式で付与される報酬です。
RSUでは、勤続年数など一定条件を満たすと「ユニット」とよばれる単位が付与されます。
ユニットをひと言でいうと、将来条件つきで自社株を得られる「権利」です。
自社株はユニット数に応じた株数が付与されます。
具体的にRSUのしくみをみていくと、大きく下記3つの段階があります。
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1. 付与(Grant)
会社の規定に則り、ユニットが付与されます。
この段階では「自社株を得られる権利」が付与されているだけで、自社株そのものが手に入るわけではありません。
この段階では「自社株を得られる権利」が付与されているだけで、自社株そのものが手に入るわけではありません。
2. 制限解除(Vest)
条件をクリアすると、株式は社員のものとなります。
会社から自社株の形式で報酬を与えられた状態と言い換えられ、給与所得に該当します。
会社から自社株の形式で報酬を与えられた状態と言い換えられ、給与所得に該当します。
3. 売却(Sell)
社員がRSU制度によって得た自社株を売却する段階です。
自社株の取得金額よりも売却金額が高い場合は差額が利益となります。
自社株の取得金額よりも売却金額が高い場合は差額が利益となります。
RS(譲渡制限付株式)は、条件を満たすまで譲渡(売却)できない株式です。
RSUと同様に株式報酬の一種ですが、RSUでは株式を得る「権利」が付与されるのに対して、 RSは株式が直接付与される点が異なります。
売却するには一定期間以上の継続勤務といった条件を達成する必要があります。
RSUと同様に株式報酬の一種ですが、RSUでは株式を得る「権利」が付与されるのに対して、 RSは株式が直接付与される点が異なります。
売却するには一定期間以上の継続勤務といった条件を達成する必要があります。
ストックオプションは、
あらかじめ決められた価格で自社株を「購入できる権利」がもらえる制度です。
RSUは条件を満たせば購入代金を払わずとも自社株が手に入りますが、ストックオプションは自社株を「購入する権利」のため、自社株を手に入れるには購入代金を支払う必要があります。
RSUは条件を満たせば購入代金を払わずとも自社株が手に入りますが、ストックオプションは自社株を「購入する権利」のため、自社株を手に入れるには購入代金を支払う必要があります。
ストックオプションについてはこちらの記事でくわしく解説しています。
RSUについては確定申告が必要な場面も覚えておきましょう。
前提を整理すると、RSU制度には付与(Grant)→制限解除(Vest)→売却(Sell)の3つのフェーズがあります。
このうち 制限解除(Vest)と売却(Sell)で確定申告が関係してきます。
前提を整理すると、RSU制度には付与(Grant)→制限解除(Vest)→売却(Sell)の3つのフェーズがあります。
このうち 制限解除(Vest)と売却(Sell)で確定申告が関係してきます。
制限解除(Vest)はユニット数に応じた自社株が報酬として手に入る段階です。
ここで得た株式は 給与所得として課税されます。
たとえば9/30に譲渡制限が解除され、株価(時価)200ドル、株数100株、為替レートが150円だったとすると、課税対象は下記の計算のとおりです。
200ドル×100株×150=300万円
突然「ドル」が出てきて驚かれたかもしれませんが、RSUは外資系企業での導入が多いため、株式も「外国株」となり、ドルでの計算となります。
海外の親会社から株式を付与される場合、日本では源泉徴収されないため確定申告が必要です。
所得税額は所得金額によって異なり、税率は5%〜45%です。
ここで得た株式は 給与所得として課税されます。
たとえば9/30に譲渡制限が解除され、株価(時価)200ドル、株数100株、為替レートが150円だったとすると、課税対象は下記の計算のとおりです。
200ドル×100株×150=300万円
突然「ドル」が出てきて驚かれたかもしれませんが、RSUは外資系企業での導入が多いため、株式も「外国株」となり、ドルでの計算となります。
海外の親会社から株式を付与される場合、日本では源泉徴収されないため確定申告が必要です。
所得税額は所得金額によって異なり、税率は5%〜45%です。
手に入れた自社株を売却し、
利益が出た場合には譲渡所得として課税されます。
先ほどの例によって制限解除の時点で300万円だった自社株を、株価250ドル、株数100株(すべて)、為替レート152円で売却したとします。
このとき売却金額は250ドル×100株×152円=380万円です。
そして、下記の利益について所得税が課税されます。
380万円(売却金額)−300万円(取得価格)=80万円
なお売却価格が取得価格を下回った場合は課税対象とはならず、確定申告も必要ありません。
先ほどの例によって制限解除の時点で300万円だった自社株を、株価250ドル、株数100株(すべて)、為替レート152円で売却したとします。
このとき売却金額は250ドル×100株×152円=380万円です。
そして、下記の利益について所得税が課税されます。
380万円(売却金額)−300万円(取得価格)=80万円
なお売却価格が取得価格を下回った場合は課税対象とはならず、確定申告も必要ありません。
では制限解除(Vest)された後、売却すべきか保有しつづけるべきか、どのように判断すればよいのでしょう。
ポイントは下記2点です。
ポイントは下記2点です。
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たとえば金融資産が計1,000万円あり、内訳が貯金500万円、RSU500万円の場合、資産の半分を自社株が占めている状況です。
収入源となる給料も会社から支払われるため、勤務先企業にリスクが集中していると言い換えられます。
こうした場合はRSUで得た自社株を一部またはすべて売却し、ほかの資産にリスクを分散させるほうが得策でしょう。
またRSUで手に入る株数が多いと、制限解除(Vest)の際に支払う税額も多くなります。
家計の状況を考慮して、納税資金を準備するために売却が必要になるケースもあります。
収入源となる給料も会社から支払われるため、勤務先企業にリスクが集中していると言い換えられます。
こうした場合はRSUで得た自社株を一部またはすべて売却し、ほかの資産にリスクを分散させるほうが得策でしょう。
またRSUで手に入る株数が多いと、制限解除(Vest)の際に支払う税額も多くなります。
家計の状況を考慮して、納税資金を準備するために売却が必要になるケースもあります。
RSUを売却すると決めたら、今度は「いつ売却するのか」も悩みどころです。
結論からいうと、たとえ損失になったとしてもできるだけ早い売却が理想です。
とはいえ、定期的に少しずつ制限解除(Vest)されていく株式をその都度売却していては、手間も手数料も多くなってしまいます。
現実的には、年に1度ずつ、数百万円〜1,000万円単位で売却していくとよいでしょう。
株価が下がっているときには心理的になかなか売りづらいものですが、将来を考え、理想の資産バランスをととのえるために淡々と売却していきましょう。
結論からいうと、たとえ損失になったとしてもできるだけ早い売却が理想です。
とはいえ、定期的に少しずつ制限解除(Vest)されていく株式をその都度売却していては、手間も手数料も多くなってしまいます。
現実的には、年に1度ずつ、数百万円〜1,000万円単位で売却していくとよいでしょう。
株価が下がっているときには心理的になかなか売りづらいものですが、将来を考え、理想の資産バランスをととのえるために淡々と売却していきましょう。
RSUで得た自社株の売却代金は、基本的には金融資産全体のバランスをととのえるために使っていきます。
貯金と自社株しか保有していない方なら、自社株の売却代金を 全世界株式型の投資信託または外国債券で運用するとよいでしょう。
購入するタイミングも相場を見定めようとする必要はありません。
投資信託・外国債券ともに長期運用が前提ですから、時間を味方につけるためにもタイミングをうかがうより早めの購入をおすすめします。
投資信託や外国債券、その他金融商品について運用の観点からくわしく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
貯金と自社株しか保有していない方なら、自社株の売却代金を 全世界株式型の投資信託または外国債券で運用するとよいでしょう。
購入するタイミングも相場を見定めようとする必要はありません。
投資信託・外国債券ともに長期運用が前提ですから、時間を味方につけるためにもタイミングをうかがうより早めの購入をおすすめします。
投資信託や外国債券、その他金融商品について運用の観点からくわしく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
最後に本記事の内容をかんたんにおさらいしましょう。
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なお売却代金の運用に関しては、貯金と自社株しかない方であれば上記のとおり全世界株式型の投資信託または外国債券で問題ありませんが、
すでに運用している方の場合はポートフォリオ全体をみて総合的な判断が求められます。
資産形成に失敗しないためには、現在の家計の状況や今後のライフプランを考慮したうえ、長期目線での取り組みが欠かせません。
RSUの売却や運用でお悩みの方は、弊所でもご相談を受け付けております。
家計の状況、今後のライフイベント、ご希望のライフプランをうかがい、適切な運用方法をお伝えいたします。
下のバナーまたはこちらのお問い合わせフォームから、お気軽にお問い合わせください。
資産形成に失敗しないためには、現在の家計の状況や今後のライフプランを考慮したうえ、長期目線での取り組みが欠かせません。
RSUの売却や運用でお悩みの方は、弊所でもご相談を受け付けております。
家計の状況、今後のライフイベント、ご希望のライフプランをうかがい、適切な運用方法をお伝えいたします。
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