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一時金にする?年金にする?退職金の受け取り方3パターンを解説

2023年6月6日
  • 一時金にする?年金にする?退職金の受け取り方3パターンを解説
退職金の受け取り方を選べる場合、一時金で受け取るか、年金として受け取るかは悩みどころですよね。
人生で退職金ほどまとまった金額を受け取る機会はなかなかありません。使い道、運用方法、税金…考えるべきことは多く、何をヒントにどう判断していけばいいか、迷ってしまいます。

今回は退職金の受け取り方3パターンについて、メリットやデメリットをそれぞれ解説します。
  • 1. 一時金
    で受け取る場合
  • 2. 年金
    として受け取る場合
  • 3. 一時金と年金の併用
    で受け取る場合
決め手となるのは退職後のライフプランです。退職後の働く予定、大きな出費の予定などをもとに判断していきます。
受け取り方の違いによって税金や社会保険料も変わってきますから、自身にとってベストな選択ができるよう、各パターンの特徴を理解していきましょう。

1.一時金として退職金を受け取るメリット・デメリット

  • 一時金として退職金を受け取るメリット・デメリット
退職金を一時金で受け取る場合、大きな金額だからこそ税金面は気になりますよね。また、どう使っていくかもポイントです。そこで税制面と、運用含む使い道の面からメリットとデメリットを説明します。

  一時金として受け取るメリット2つ

一時金として受け取る退職金は、税制面では退職所得に分類され、所得税の計算方法に特徴があります。また年金形式にはない金額のスケールメリットも特徴です。
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  • 1. 退職所得控除が適用される
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  • 2. 金額がまとまっているので使い道が幅広い
メリット1
退職所得控除が適用される
退職金を一時金形式とする最大の利点は退職所得控除を使って税負担を大きく軽減できる点です。
退職所得控除は、勤続年数に応じた額を退職金の額から差し引ける制度です。下の表にあるとおり、勤続年数が20年以下/20年超によって控除額の計算方法が異なります。
もし退職金の額が控除額の枠内におさまれば所得が計算上ゼロとなり、税金が引かれることなく退職金をまるっと受け取れます。
なお一時金で受け取る場合は、社会保険料がかかりません。
  • taishokukin表
メリット2
金額がまとまっているので使い道が幅広い
数百万、1,000万円以上と金額が大きいため、年金形式で受け取るよりも使い道が広がります。
たとえば住宅ローンの繰り上げ返済、住まいの建て替え・リフォーム、車の買い替えなどがあげられますね。その先10年、20年の大きな出費を減らす手助けとなるでしょう。

  一時金として受け取るデメリット2つ

「税金の負担が少なくてお得だから」というだけの理由で一時金受け取りを選ぶと、その後に困る可能性があります。使い道・運用の観点からデメリット(注意点)は以下の2つです。
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  • 1. 使用・運用の計画をきちんと立てないと失敗しやすい
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  • 2. 運用成果によっては年金形式よりも受け取る金額が減ってしまう
デメリット1
使用・運用の計画をきちんと立てないと失敗しやすい
退職金を無計画に一時金受け取りにするのは大変危険です。まず使いすぎてしまう可能性がありますし、逆に銀行に預けっぱなしでは金利がつかず、取り崩す一方となってしまいます。1回の引き出しは少しだとしても、徐々に残高が減っていくことで不安感にさいなまれるかもしれません。
一時金として受け取るのならとくに、使い道や運用の計画をしっかりと立てましょう。
デメリット2
運用成果によっては年金形式よりも金額が減ってしまう
先述のように銀行口座に置いておいても金利が期待できませんから、受け取った退職金を自身で運用していくことが肝要です。
しかしあまりに高リスクな運用では、損して元本を大きく減らしかねません。公的年金の運用実績をみると、2001年以降の実質利回りは3.56%です。退職金を運用する際は3%〜4%程度を目安にすると良いでしょう。

2.年金として退職金を受け取るメリット・デメリット

  • 年金として退職金を受け取るメリット・デメリット
年金として受け取る場合にも、メリットとデメリットが2つずつあります。一時金で受け取る場合と同じく、税金・社会保険料の負担、そして運用面の2点がポイントです。メリット・デメリットともに2つずつ解説します。

  年金として受け取るメリット2つ

年金で受け取る退職金の所得分類は「雑所得」です。また、未受け取りの部分は引き続き会社が一定の利率で運用してくれます。
こうした側面から、年金受取のメリットは次の2点です。
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  • 1. 公的年金控除が利用できる
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  • 2. 総受給額が一時金で受け取る場合より多くなる可能性がある
メリット1
公的年金控除が利用できる
年金形式で退職金を受給する場合は公的年金控除が適用されます。もし年間の受給額が公的年金控除額の範囲内におさまれば、所得税と住民税がかかりません。
  • taishokukin表
メリット2
総受給額が一時金で受け取る場合より多くなる可能性がある
退職金のまだ受け取っていない部分は、お勤めだった会社が一定の利回りで運用してくれます。運用利回りや受給期間によっては、一時金で受け取る場合よりも退職金の総額が多くなるかもしれません。
ただし税金や社会保険料の負担も上がる可能性があり、総合的な判断が求められます。

  年金として受け取るデメリット2つ

年金として受け取るデメリットは、メリットの裏返しとなります。
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  • 1. 一時金とくらべ税金や健康保険料が増える場合がある
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  • 2. 運用利回りや受給期間によっては受け取れる額が少なくなる
ここでのポイントは、退職後のライフプランと退職金制度の確認。退職金を受け取る前に事前準備をしっかりおこないましょう。
デメリット1
一時金とくらべ税金や健康保険料が増える場合がある
公的年金等控除は、企業年金だけでなく、基礎年金や厚生年金などの公的年金も同じ枠を使います。

なので、一般的に企業年金があるような会社の方は収入が高い傾向がり、収入が高ければ年金額も多くなり、さらに企業年金の分年金額が大きくなればこの枠を超え、税金が継続的に納める必要がある可能性があります。

また、同様にこの枠を超えた分は健康保険料もかかります。

だから、一時金ならかからなかった税金や社会保険料がかかる可能性があるのがデメリットです。
デメリット2
運用利回りや受給期間によっては受け取れる額が少なくなる
退職金のまだ受け取っていない部分を会社が運用してくれると説明しました。しかし運用利回りによってはインフレに対応できず、退職金は実質目減りしてしまう可能性があります。
参考:インフレって何?資産への影響や対策を分かりやすく解説 【前編】
また年金受給の「保証期間」も必ず確認しておきましょう。保証期間とは受給者の生死にかかわらず年金が給付される期間のこと。年金(退職金)を受け取りはじめてすぐに受給者が亡くなってしまった場合でも、保証期間中ならご遺族が引き続き年金を受け取れます。
受給期間や保証期間が短ければ受け取れる総額も少なくなってしまう点はデメリットといえるでしょう。

3.一時金&年金として退職金を受け取るメリット・デメリット

  • 一時金&年金として退職金を受け取るメリット・デメリット
最後に、一時金と年金のハイブリッド型で退職金を受け取っていくメリットとデメリットを説明していきます。
会社の制度と、ここまででふれてきた退職所得控除・公的年金等控除がポイントです。

  一時金&年金として退職金を受け取るメリット2つ

一時金と年金の併用で受け取る場合、退職所得控除と公的年金等控除の両方を利用でき、税金や社会保険料の負担を抑えられる点が大きなメリットです。
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  • 1. 退職所得控除によって年金受け取りよりも税負担を抑えられる
  • Check
  • 2. 公的年金等控除をより活かしやすくなる
メリット1
退職所得控除によって年金受け取りよりも税負担を抑えられる
とくに退職金の額が退職所得控除の範囲を超える方にとって大きなメリットです。
退職所得控除の限度額まで一時金として受け取り、残りを年金とすれば、すべて年金で受け取るよりも税負担を抑えられます。
なお退職金の額が退職所得控除の範囲内におさまる方は全額を一時金で受け取ってしまって問題ありません。
メリット2
公的年金等控除をより活かしやすくなる
退職所得控除を利用したうえで年金部分を65歳までのあいだに受け取れば、公的年金等控除を活用しやすくなります。公的年金(雑所得)の支給は65歳〜ですから、60代前半の期間は雑所得が公的年金控除の範囲内におさまりやすいといえるからです。
  • 退職金の受け取り方 一時金形式なら非課税枠大きく
退職金の受け取り方 一時金形式なら非課税枠大きく

上の図をみると税金や社会保険料の負担が増えやすい年金形式よりも、併用形式のほうが手取り金額が多いことがわかります。

  一時金&年金として受け取るデメリット2つ

税金面でのメリットが大きい併用形式ですが、思うような受け取り方・使い方(運用)ができるかどうか、デメリット(注意点)もあります。
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  • 1. 一時金と年金のバランスを欠けば、結局負担が増えかねない
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  • 2. 思うとおりの受け取り方ができるとは限らない
デメリット1
一時金と年金のバランスを欠けば、結局負担が増えかねない
退職金の額が退職所得控除の範囲におさまるなら、一時金形式がもっとも税金・社会保険料の負担が少なくなります。税金・社会保険料だけを考えれば、あえて併用にする必要ありません。
また併用形式では一時金を受け取るぶん運用原資が減りますから、年金部分の運用成果も期待しにくくなります。併用形式でも一時金の使い道と運用をきちんと計画しておきましょう。
デメリット2
思うとおりの受け取り方ができるとは限らない
お勤めの会社や勤続年数などによって退職金の金額や制度は異なります。一時金として受け取れる割合、年金を受け取れる期間などが自分の希望と合わないかもしれません。
就業規則などで確認するか、人事部に直接聞いてみましょう。

4.ライフプランをよく考えて受け取り方を決めよう

退職金の受け取り方はどのパターンにもメリットとデメリット(注意点)があります。近い将来、使う予定のお金はないか、退職後も働くのか、働くなら働き方はどうするかといったライフプランと、税金や社会保険料の見通しを立てて、ベストな選択をしていきましょう。
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