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世帯年収1,500万円で1億円の家(億ション)を購入するポイント −物件編−

2024年6月7日
執筆者:土屋 ごう
  • 世帯年収1,500万円で1億円の家(億ション)を購入するポイント−物件編−
住宅価格が上昇するなかで「資産を持ちたい」との理由から1億円を超えるマンション(億ション)の購入を検討する共働き高年収世帯が増えています

都内のある億ション購入者のうち、年収1,500万円を超える共働き世帯の比率が2023年時点で37.4%と、過去8年で2倍になったとの調査結果も出ています(※)。

しかし、いくら世帯年収が1,500万円あり、さらに低金利や住宅価格の上昇見込みが後押しになっているとはいえ、1億円の家を「無理して買う」ことは後々の家計が心配です。

そこで本記事では、世帯年収1,500万円の家庭が1億円の家(億ション)を購入する際、物件選びのポイントをFPの観点から解説します。

(※)参照:都内は億ション、年度平均でも 「年収7倍」背伸び買い - 日本経済新聞

物件価格は今後も下がらない見込み

  • 物件価格は今後も下がらない見込み
日経新聞によれば、東京都内(23区内)における2023年度の新築マンション平均価格は1億464万円と2022年度より5.7%上昇して初の1億円突破、過去最高となりました。
  • 都内は億ション、年度平均でも 「年収7倍」背伸び買い - 日本経済新聞
引用:都内は億ション、年度平均でも 「年収7倍」背伸び買い - 日本経済新聞

マンション価格の上昇は今後も続くものとみられます。根拠として下記3点があげられます。
  • Check
  • 1. 物価が上昇傾向にある
  • Check
  • 2. 共働きが増えている
  • Check
  • 3. 賃金が上昇している

1.物価が上昇傾向にある

とくにここ数年、モノの値段が上昇傾向にあります。スーパーや飲食店に行った際、値上がりを実感する方も多いのではないでしょうか。

当然、不動産の値段も例外ではありません。今後も物価は上昇傾向が続くものとみられ、不動産の価格も下がりづらいと予想されます。

2.共働き世帯が増えている

共働き世帯の増加も新築マンションの相場を押し上げる要因のひとつです。

共働きでペアローンを組めば、億ションでも手が届く世帯が増えているためです。事実、ペアローンの利用割合も増加傾向にあります。

つまりマンションが値上がりしても需要は衰えておらず、引き続き値上がりが続くといえるでしょう。

3.賃金が上昇している

また賃金の上昇も、共働き世帯の後押しとなります。

物価(不動産価格)の上昇と同様に賃金も上昇しますから、値上がったマンションを買える世帯が減りづらい背景があります。
共働き世帯の増加にくわえて賃金の上昇もマンション需要の下支えとなり、価格が上昇しやすい状況といえるわけです。
こうした3つの理由からマンションの価格は引き続き上昇基調とみられます。

もちろん地域や実際の物件にもよりますが「もう少し値段が下がってから買おう」と時期をみているのであれば、その時期はなかなか訪れないかもしれません

ポイント1. リセールバリューを意識する

  • ポイント1. リセールバリューを意識する
ここからは億ション購入にあたり、物件選びで意識したいポイントを3つ紹介します。

最初のポイントとして、物件のリセールバリューを意識しましょう。

リセールバリューとは、購入した物件を中古市場で再販する際の価格です。

加齢によるライフスタイルの変化や家族構成の変化などにより、買ったマンションを将来売却する可能性がないとはいいきれません

そのときのライフスタイルにより適した物件へ買い替える可能性や、マンションを売却して施設に入居する可能性もありますよね。

新築のマンションを35歳で購入したとして、65歳になれば築30年、75歳で築40年、85歳になれば築50年になります。

したがって、 築年数が長く経過しても高く売れる物件=リセールバリューの高い物件を選ぶことが重要です。

マンションのリセールバリューを決める要素は下記4つです。
  • チェック
    立地の優位性
    駅前や再開発が進む地域など、好立地であること
  • チェック
    交通利便性
    首都圏であれば都心へ直接乗り入れている路線の沿線など、交通の便がよいこと
  • チェック
    生活の利便性
    公共施設やスーパー、学校、病院、コンビニなどが近く、生活が便利なこと
  • チェック
    将来性
    上記3点のほか、人口が減っていない、増加しているなど将来価値の上昇が見込めること
なかでも、首都圏ではとくに交通利便性が重要だといわれています。
都心への直接乗り入れがなく、枝分かれした路線の沿線は、現時点では人気があっても将来元気がなくなっていくと予測されています。

ポイント2. 生活拠点として暮らしやすい地域を選ぶ

  • ポイント2. 生活拠点として暮らしやすい地域を選ぶ
物件を選ぶふたつ目のポイントは、生活拠点としての立地がよいかどうかです。
いくらリセールバリューが高くても、通勤や通学に不便な場所では快適な生活を送りづらいでしょう。

立地は大きく分けて2種類あります。都心からの距離や通勤・通学時間などを指す広域的な立地」と、最寄り駅からの距離を表す狭域的な立地」です。

このうち広域的な立地のほうが重要であるとされています。

オフィスや学校の場所は決まっていますから、やはり通勤や通学に便利な駅を選ぶほうが毎日のストレスが軽減されます。

スーパーやコンビニなどの利便性が変わらず、駅まで徒歩圏内であれば、たとえ駅からの距離が希望より少し離れても許容できるのではないでしょうか。

ここまでは通勤がある前提で解説してきましたが、リモートワークが多いようならまた様相は異なります。

通勤の利便性を考慮しなくてすむかわりに、子育てしやすい街や、周辺の商業施設へのアクセスが便利な地域など、生活利便性の高さを優先してもよいでしょう。

近年は敷地内に生活関連施設が併設されているマンションも増えていますが、そこだけでじゅうぶんではないケースもまだ多い状況です。

家族にとって重要な施設を把握し、快適に暮らせる地域を選びましょう。

ポイント3. 管理体制のととのった物件を選ぶ

  • ポイント3. 管理体制のととのった物件を選ぶ
マンションは管理を買う」といわれるほど、管理体制は重要な要素です。しかし新築マンションでは今後適切な管理がおこなわれるかどうかが予想しづらいといえます。

そこでチェックしたいポイントが2つあります。
  • Check
  • 1. 長期修繕計画がきちんと立てられているか
  • Check
  • 2. 修繕積立金は無理なく払えそうか

1.長期修繕計画がきちんと立てられているか

分譲マンションの大規模修繕工事は12〜18年サイクルが一般的です。じゅうぶんな修繕をせず、建物や設備の劣化が進めば住心地は悪化し、資産価値の下落も招きます。

マンションの販売時には分譲業者が「長期修繕計画書」や「管理規約案」を作成するため、「管理計画認定制度」の基準に合致しているか、調べておくとよいでしょう。

「管理計画認定制度」とは国土交通省が定めたもので、一定の基準を満たしているマンションを地方自治体が認定するしくみです。

新築マンションでも長期修繕計画書や管理規約案の内容と管理計画認定制度を照らし合わせて管理体制を推測してみましょう。

2.修繕積立金は無理なく払えそうか

いくら管理体制が充実していても、管理費や修繕積立金を支払えなければ意味がありません。
近年、マンションの管理費・修繕積立金はともに上昇しています。

管理費の上昇は、シアタールームの設置やコンシェルジュの配置などマンション設備の充実化によるものです。また修繕積立金の上昇は工事費用の高騰がおもな要因です。

2022年時点で、東京23区におけるマンションの管理費・修繕費の合計は3万829円で前年比5%増、とくに首都圏の修繕積立金は8%増の2万7,494円となりました。

修繕積立金は段階的に増額されるケースが多く、国土交通省の調査によれば増額幅は平均3.6倍、10倍を超える事例もあるといいます。

積立額が長期修繕計画を下回っている、そもそもの設定額が甘いといった背景から、増額せざるを得ない事態に陥っているマンションが多いようです。

残念ながらわたしたちはマンションのプロではないので、そのマンションにとっていくらの修繕積立金が適切なのかはわかりかねます。
しかし家計において毎月負担できる金額なら計算できるでしょう。

「今払えるか」はもちろんですが、修繕積立金は上昇するものとして「増額しても払いつづけられそうか」を考えてみてください。

億ションの購入は暮らしやすさだけでなく資産価値を重視しましょう

  • 億ションの購入は暮らしやすさだけでなく資産価値を重視しましょう
投資用マンションは別として、マンションは「生活拠点」のほか「資産」の側面も持ちます。

生活の拠点である以上暮らしやすさや管理体制はもちろんのこと、億ションともなれば将来も見据えた資産価値をより重視して物件を選びたいものです。

また、焦りを煽るわけではありませんが、マンション価格の上昇は今後も続くものと推測されます。
「下がってから買おう」と考えているのであれば、購入の時期を逸してしまうかもしれません。

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